奉納余興公演は「笠揃」から「笠抜」まで、4日に渡り10数回の公演を市内各所にて行われ、その年の当番町が全て行います。
この「山あげ」余興公演は、一言で歌舞伎の野外劇と言うことが出来ます。
舞台の左には花道ができ、花道の後ろには御拝(向拝・屋台の飾部)が置かれ、荘重さを加えます。
舞台の右は太夫座であり、舞台の後方には橋(松)、波、館、前山、中山、大山が遠近よく立てられます。(山を人力で立てることを山をあげると言い「山あげ」となる)
これらの山には山水が描かれ、四季の情趣が豊かに現されます。
こうして、巾は道路巾8メートル、奥行き100メートル、高さ10メートル程に及ぶ巨大な野外演舞場ができあがり、ここで常磐津に合わせて、それぞれの歌舞伎舞踊が演じられます。
当番町の若衆達がこの舞台や太夫席、背景等を公演場所で組み立て、歌舞伎の野外劇中はそれら背景を特殊効果などで操作したり、花火や音響、光等で幻想的に演出する役割も請け負っています。
公演が終わるとそれらを素早く解体し、舞台を変形させて「地車」にして積み込み、次の公演場所に向かいます。